あらゆるものを封印出来る聖なる杖を眺め、麻由里さんは凛とした表情を浮かべた。

「便宜上討伐と言ってきましたが、魔王は『不老不死』のギフトを持っているため倒せません。だから、完全に身動きを封じてこの世から消えたことにします」

 『ゲームでもそうだったし』と補足しつつ、麻由里さんは真っ直ぐ前を見据える。

「ただ、魔王を封印するには瀕死状態に追い込まなければなりません。下手に抵抗されると、厄介なので」

 封印にも色々制約や条件があるらしく、麻由里さんは難しい顔つきでこちらを振り返った。

「ここから先はとにかく、力のぶつかり合いになります。全力で魔王を叩き潰してください」

「「「了解」」」

 即座に首を縦に振った私達は、各々の役割を果たすため動き出す。
まずレーヴェン殿下はここら一帯に魔力を流し、ギフト『千里眼』の発動条件を整え、兄はギフト『絶対命中』を発動させる。
これはその名の通り、どんな攻撃も必ず対象に当たるというものだ。
ただし、使用時間は限られているため使い時を見極めないといけない。
今回は出し惜しみなしと言われているので、使用に踏み切ったのだろう。