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 ノクターン皇帝陛下の号令で始まった会議は、実に八時間を要した。
ただの打ち合わせなので、本来ここまで時間は掛からない筈なのだが……最後の悪足掻きか、せめてのもの抵抗か皆なかなか会話を打ち切らず、結局夕食まで長引いた形である。
そして、私達は明日の決戦に備えて眠りにつき────ついに本番を迎えた。
各々用意してもらった装備に身を包み、皇城の一室で始まりの合図を今か今かと待つ。

「────それにしても、この眺めは壮観だね」

 テラスに設置されたソファへ腰掛ける私達を見て、麻由里さんはキラキラと目を輝かせた。

「ゲーム越しでしか見れなかったフル装備をこの目で拝めるとは、思わなかったなぁ」

 『実にいい眺めだ』と満足げに頷き、麻由里さんは頬を緩める。
カメラマンのようなポーズを取りはしゃいでいる彼女に、兄は小さく息を吐いた。