「ニクスとリディア……の憑依者は私達と来てくれ。一緒に食事でもしよう」

 家族としてこれからどうするのか話し合いたいのか、父は『久々に皆揃ったんだから』と述べる。
どことなくぎこちない態度を取る彼に、私は笑って頷いた。
少し痛む胸を押さえながら。

 こうなることは覚悟の上だったけど……実際によそよそしい態度を取られると、心に来るわね。
でも、耐えなきゃ……これが私の背負った業なのだから。

 『逃げてはいけない』と自分に言い聞かせていると、兄も食事の誘いを了承する。
そして、この場を後にしようとしたとき────

「馬車まで、リディアをエスコートしてもいいですか?」

 ────リエート卿が片手を挙げて、そう申し出た。
この暗い雰囲気を払拭するためか明るく振る舞い、こちらに手を差し出す。