「実を言うと、詳しいことは私にも分かりません。ただ、ゲームの行動や公式ファンブック……えっと、ゲームの設定資料に載っていた情報を見るに、リディアの根本にあるのは────『愛されたい』という渇望だと思います」

 『その手紙にも愛されたい願望が滲み出ていましたし』と付け加えつつ、ルーシーさんはそっと目を伏せた。
そして少し考え込むような動作を見せ、躊躇いがちに顔を上げる。

「私の推測も入っているので、確かではありませんが……」

「それでも構わない」

「分かりました。では、ルート別にご説明します」

 ノクターン皇帝陛下の言葉で踏ん切りがついたのか、ルーシーさんは表情から迷いを消した。
と同時に、背筋を伸ばす。

「まずニクスルートの場合ですが、こちらは単純に────自分の家族を取られたくなかったからだと思います。あと、少し嫉妬も入っているかと。何故、家族じゃないあの女が愛され、求められているのか?という……」

 少し暗い声色で言葉を紡ぎ、ルーシーさんはそっと眉尻を下げた。
きっと、本物のリディアの気持ちに共感しているのだろう。