「私はどう頑張っても、そういう人になれなかったから……貴方の第二の人生が、幸福で溢れていることを願うわ。リディア・ルース・グレンジャーより」

「「「……」」」

 悲願とも言えるリディアの未練を知り、彼らは一様に黙り込んだ。
シーンと静まり返る周囲を他所に、私は自身の手のひらを見つめる。

「私はリディアの『色んな人に愛される人へなってほしい』という文章を、『自分が(・・・)愛されるようになりたい』と解釈しました。なので、正体は明かさずに過ごしてきましたが……途中からは、『この居場所を失いたくない』という想いもあって……正直、独りよがりでした」

 『憑依した時点で全て明かすべきだった』と語り、私はグッと手を握り締めた。
己の過ちを自覚しながら居住まいを正し、今一度頭を下げる。

「皆さん、今まで本当に申し訳ございませんでした。決して許されないことをした、と自覚しております。どのような処罰も、甘んじて受け入れる覚悟です」

 『償うためなら何でもする』という意志を見せる私に、ノクターン皇帝陛下はスッと目を細めた。
かと思えば、スルリと自身の顎を撫でる。