『お二人とも優しいから、無理しているのでは?』と疑問に思うものの……こちらを見る目は本当に穏やかで、真っ直ぐだった。
少なくとも、嘘をついている訳ではなさそう。
『じゃあ、本当に私を……受け入れてくれるの?』と困惑する中、兄は手の甲でそっと私の頬を撫でる。

「明日、どんな真実を聞かされてもお前を大切に思う気持ちは変わらない」

「だから、安心して話し合いに挑め。俺達がついている」

 味方であることを明言し、リエート卿はポンポンッと軽く背中を叩いた。
『何も心配する必要はないんだぞ』とでも言うように。
溢れんばかりの厚意と優しさを向けられ、私は────ついに泣き出してしまった。
『悲しいのも辛いのも皆の方だ』と思って、ずっと我慢していたからか、どうにも涙を止められない。

「お兄様、リエート卿……ありがとうございます!本当に、本当に……!」

 震える体をギュッと抱き締め、私はひたすら感謝を伝えた。
すると、兄は少し呆れたように笑う。