「仮にニクスの言っていることが事実だとして、これからリディアにどう接していくつもりだ?」

 『ちゃんと事実を受け止めて関係修復して行けるのか』と問い、俺は長テーブルに手を置いた。
少し身を乗り出す俺の前で、ニクスは一瞬黙り込み……フイッと視線を逸らす。

「……お前に言う必要はない」

「いや、ここまで言ってそれはないだろ!?」

 『気になるじゃん!』と叫ぶ俺に、ニクスはチラリと視線を向けた。
かと思えば、小さく息を吐く。

「だが、まあ……一つだけ断言してやる────僕はリディアに厳しく接するつもりはない」

「!!」

 『これまでと変わらず、は無理だろうがな』と語るニクスに、俺は目を剥いた。
まさか、こんなにもあっさり結論を出し、何の躊躇いもなく口に出来るなんて思わなかったから。
ニクスの苦悩や葛藤を知らない訳じゃないが、こうも淡々としていると……困惑してしまう。