「あぁ……そうでしたね、私……」

 額に手を当て、悲しげに笑うリディア嬢は少しばかり涙ぐむ。
でも、決して泣かなかった。
きっと、自分に泣く権利なんてないと思っているのだろう。

 どうして、君はいつもいつも自分に厳しいのかな。
別に泣いたって、いいのに。
私もルーシー嬢も君を責めることはないよ?

 『もっと甘えてほしいのにな』と思案する中、リディア嬢はそっと身を起こした。
かと思えば、私達に向かって頭を下げる。

「お二人とも、色々とありがとうございました。もう大丈夫ですので、私のことは放って……」

「そんなこと出来る訳ないでしょ、お馬鹿!」

 自分の微妙な立場を理解しているからこその発言に、ルーシー嬢は目を吊り上げた。
勢いよく立ち上がりリディア嬢の肩を掴むと、力任せにブンブン揺さぶる。