「リディアをお願いします」

「俺らも出来るだけ早く、気持ちに整理付けるんで」

「ああ」

 首を縦に振って了承し、私はルーシー嬢に向き直った。

「ルーシー嬢、悪いけど付き添ってくれるかい?さすがに女性と二人きりでは、変な誤解を生みかねないから」

「分かりました」

 心配そうにリディア嬢を見つめながら、ルーシー嬢は二つ返事で了承する。
『一応、治療しておいた方がいいかな?』と迷う彼女を他所に、私はニクスとリエートに再度挨拶した。
そして保健室に行くと、リディア嬢をベッドに寝かせる。

「リディア……」

 彼女の額に手を当て、ルーシー嬢は切なく呟いた。
かと思えば、こちらに厳しい目を向ける。

「レーヴェン様、先程の対応は凄く感謝しています。私では、あんな風に場を収められなかったと思うので……でも────何故、そんなに落ち着いていられるんですか?」

 案の定とでも言うべきか、ルーシー嬢は警戒心を剥き出しにした。
『元々あまり動じない性格とはいえ、さすがに冷静すぎる』と。