「では、とりあえず飼い主を探しに行きましょうか」

「チッ……!面倒だけど、しょうがないな」

「どうせ暇だし、別にいいだろ」

 『これもいい思い出になる』と語り、リエート卿はこちらに手を伸ばした。

「リディアには、重いだろ。抱っこ代わるぜ」

 そう言って、リエート卿は猫さんを抱き上げようとする。
だが、しかし……まさかの猫パンチで、撃退されてしまった。
幸い直撃することはなかったが、これだと抱っこは難しい。

「男は嫌なのかも」

 『どの動物にも女好きは居るし』と言い、ルーシーさんはこちらへ近づいた。
恐らく、その仮説を試すつもりなんだろうが……猫さんにシャーッと威嚇されてしまう。

「特待生の方が嫌われているみたいだな」

「何で……!?」

 ショックを受けたように固まるルーシーさんは、『私、猫好きなのに……!』と嘆く。
絶望に打ちひしがれる彼女の前で、兄は小さく肩を竦めた。