どうもフィリアに魔導師というイメージがなく、勝手に選択肢から排除していた。
よく考えてみれば、校舎裏でも姿を隠すため魔法を使っていたのに。
『ゲームでは、一度も使わなかったからなぁ』と思い返す中、フィリアは────長い爪で、突然手のひらを切った。

「えっ!?ちょっ……何を!?」

「何って、妖精結晶を作ろうとしているだけだけど」

 コテンと首を傾げるフィリアは、不思議そうにこちらを見つめた。
かと思えば、ハッとしたように口元に手を当てる。

「あら、もしかして────妖精結晶の原材料が妖精の血だって、知らなかったの?」

「はっ……!?そうだったの!?」

 『初耳なんだけど!?』と衝撃を受け、私はたじろいだ。
敬語が外れたことにも気づかず動揺する私を前に、フィリアはクスリと笑う。