よし!何とか間に合った!

 滑り込みで入場を果たし、思わずガッツポーズする私はフィリアと共に後方の席へ座る。
時間ギリギリだったため、いい席は埋まってしまっているのだ。
ただ、映画館のように坂状になっているためそこまで問題はない。
本日最後の発表者である、レーヴェンの顔がよく見える。

「皆さん、初めまして。レーヴェン・ロット・デスタンです。学園祭一日目の論文発表のトリを務めさせていただきます」

 『よろしくお願いします』と言って、レーヴェンは優雅にお辞儀した。
その途端、どこからともなく『ほう……』と感嘆の声が漏れる。
恐らく、彼の見目麗しさに感激したのだろう。
隣に座るフィリアも、『あら、いい男ね』と言うくらいだから。

「さて、早速ですが私の論文を発表していきます」

 『時間もありませんので』と述べ、レーヴェンはステージの後方を振り返った。
すると、示し合わせたかのように背景幕が下がり、難しそうな数式の並ぶ紙を披露する。
多分、論文の説明で使うのだろう。