目隠しをしているから見えないけど、今頃きっと目をキラキラさせているんだろうな。

 などと思いながら、私は視線を前に戻した。
と同時に、次の作品が発表され、競売に掛けられる。
案の定先程のような白熱した競りはなかったが、フィリアは楽しそうだった。
────そうこうしている内に時間は過ぎていき、気づけば夕方に。
そこでようやくフィリアの関心はオークションから離れ、『他のところを回りたい』と言う。
でも、この時間帯になると大体の出し物は終わってしまうため、少し悩んだ。

「えーっと……プログラムを見る限り、確実にやっているのは論文発表ですね」

 ポケットに折り畳んで入れていたプログラムを取り出し、私は『どうしますか?』と問う。
すると、フィリアは

「じゃあ、そこに行きましょう」

 と、間髪容れずに頷いた。
なので、ちょっと急ぎ気味に論文発表の会場へ向かう。
一応まだやっているとはいえ、恐らく最後の一人か二人くらいだろうから。