どことなくこの状況を楽しんでいるフィリアに、私は一つ息を吐いた。
『こっちは真剣なのに……』と嘆きつつ、理由や目的を話す。
さすがに前世のことまでは言えなかったが、魔王を倒すためというのはきちんと説明した。

「なるほどね。つまり────私達の作る妖精結晶が必要で接触を図ってきた、と?」

「はい。それがあれば、ギフトの効果を高められて(・・・・・)有利になりますから」

 『まさにチートアイテム』と語り、私はじっとフィリアを見つめる。
そして────

「妖精結晶狙いで、接触したことは謝ります。ごめんなさい。でも、どうしても必要なんです。だから、どうか妖精結晶を恵んでください」

 ────と、ダメ元で頼んでみた。
深々と頭を下げ、懇願する私は『やっぱりダメかな……』と思案する。
悪意や敵意がなかったにしろ、相手を利用しようとした事実は変わらないから。
『普通は不快に思うよね……』と落胆していると、不意に頭を撫でられた。