「あんだけ家族ぐるみの付き合いをしておいて、今更そんなの気にすんなよ」

「それに弟とは、また明日にでも二人で回ればいいんだし」

 『てか、四日間ずっと二人きりにされても困る』と冗談めかしに言い、アレン小公爵は目を細めた。
『気にしなくていい』と言葉や態度で表す彼を前に、リエート卿は長テーブルに寄り掛かる。

「大体、ここでリディアを放置したら間違いなくニクス達に怒られるって」

「ついでにウチの両親からも」

「リディアのこと、めちゃくちゃ気に入っているからなぁ」

 しみじみとした様子で呟き、リエート卿はどこか遠い目をする。
『もはや、あれ自分の娘扱いだよ』と語りつつ、身を起こした。
と同時に、こちらへ手を差し伸べる。

「てことで、一緒に行こうぜ」

 いつものように明るく笑って、リエート卿はエスコートを申し出た。
『楽しい思い出を作ろう』と述べる彼に促され、私は手を重ねる。
ここまで言ってもらって、断るのはさすがに失礼かと思い。
何より、私も彼らと過ごしたかった。

 お兄様達が戻ってくるまでの間だけ、兄弟水入らずにお邪魔させてもらおう。

 などと考えながら、私はリエート卿やアレン小公爵と共に生徒会室を後にした。