「本当にただのブレスレットなので、勘弁してください」

「ははっ。安心してくれ。冗談だ。俺の狙いはリエートの作品だけだからな」

 『そのために温存しておかないと』と言い、アレン小公爵はキラリと目を光らせた。
獲物を狙う狩人のように真剣な彼に、リエート卿は小さく肩を竦める。
多分個人的にやめてほしいんだろうが、もう何を言っても無駄だと悟っているようだ。
『勝手にしてくれ』とでも言うように一つ息を吐き、リエート卿は頭の後ろに手を回す。

「んじゃ、俺達は適当にそこら辺ブラブラしようぜ」

「ただここで公爵達の帰りを待っているのも、退屈だもんな」

 リエート卿の提案に理解を示し、アレン小公爵は『さあ、行こう』と促してくる。
その視線の先には、どう考えても私しかおらず……。

「えっ?あの、私もご一緒してよろしいんですか?せっかくの兄弟水入らずですのに」

 『お邪魔では?』と心配する私に、リエート卿とアレン小公爵は顔を見合わせた。
かと思えば、プッと吹き出す。