『ちょっ……武器あり!?』と焦る私は、反射的に目を瞑った。
衝撃に備えて、身を固くするものの……何も起きない。
痛みはおろか、頬に何か当たる感触さえなかった。

 あ、あれ……?

 訳が分からず一先ず目を開けると、そこには────リディアの姿が。
こちらに背を向ける形で間に入った彼女は、扇をバッチリ受け止めていた。
『いや、どういう運動神経してんの!?』と驚く私を他所に、リディアは厳しい目でアマンダ達を見る。

「これは一体、どういうことですか?アマンダさん」

「り、リディア様……あの……私は……」

 いつもニコニコ笑っているリディアが無表情だからか、アマンダは顔を青くした。
取り巻き連中に関しては腰を抜いて、後ずさっている。
まあ、かくいう私もちょっとドキドキしているが。恋愛とは別の意味で。

 怒っているリディアを見るのは二回目だけど、相変わらず恐ろしいな。
とはいえ、前回より全然マシだけどね。