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 ────学園祭の準備期間に入ってから、早一週間。
ようやく脚本が完成し、我々キャスト組も本格的に練習をスタートした。
のだが……早くも暗雲が立ちこめる。

「ルーシー嬢、表情が硬い。あと、ダンスはもっとしなやかに。ドレスの裾を踏むのは、絶対ダメだよ。最悪、転倒してしまう」

 『ある程度、私もフォローするけど』と述べつつ、レーヴェン殿下は改善を求めた。
きっと、ルーシーさんの身を案じてのことだろうが……練習初日でこれでは、心が折れてしまうのではないか。

 でも、レーヴェン殿下に限って言われた側の気持ちが分からない訳ないし……多分、言った方がルーシーさんのためになると判断したのよね。
なら、私の出る幕ではなさそうだけど。

 チラリとルーシーさんに視線を向け、私はそっと眉尻を下げる。
ドレスを握り締めて俯く彼女の姿が、あまりに不憫で。
『せめて、ダンスシーンだけでも何とかなれば』と思案する中、レーヴェン殿下がこちらを向いた。