「ありがとうございます、リエート卿」

「助かりました」

「おう。無事で良かったぜ」

 グッと親指を立てて応じるリエート卿に、私とルーシーさんは笑顔を向けた。
和気あいあいとした雰囲気がこの場に流れる中、兄が声を上げる。

「それより、どこに行くつもりだったんだ?良かったら、送っていくぞ。またドジを踏まれても、面倒だからな」

「いや、もう事故りませんって!」

 『私の信用なさすぎ!』と嘆き、ルーシーさんは口先を尖らせた。
不満を露わにする彼女の前で、私は急いで間に入る。
言い合いにでも、発展したら困るため。

「いえ、私達はお兄様達を探していて……えっと、だから送ってもらう必要はありませんわ」

 『今、会えましたし』と語る私に、兄とリエート卿は首を傾げる。