「なんだか、夢がありますね」

 『学園祭=お祭り』程度の認識しかなかった私は、思わず感嘆の声を漏らす。
すると、ルーシーさんは小さく肩を竦めた。

「その分、競争率は凄まじいけどね。皆、少しでも完成度の高いものを披露して周囲の目に止まろうとするからさ。『ちょっといい作品』程度では、確実に埋もれる」

「な、なるほど……良作で溢れ返っているからこその苦難ですね」

 なかなか厳しい現実を目の当たりにし、私は口元を押さえる。
今度は別の意味で何を発表すればいいのか分からずにいると、

「おや?難しい顔をして、どうしたんだい?」

 と、レーヴェン殿下に声を掛けられた。
ニコニコ笑って私達の輪に入る彼は、艶やかな銀髪をサラリと揺らす。