「思ったより、呆気なかったね」

 抵抗らしい抵抗がなかったことに、レーヴェン殿下は苦笑を漏らした。
『もっと苦戦するかと思ったんだけど』と述べつつ、学園長を縛り上げる。
あっという間に蔓でグルグル巻きにされた学園長を前に、僕は小さく肩を竦めた。

「リディアがずっと粘って、相手を消耗させてくれていましたからね」

「ご自慢の“空間支配”なんて、もうほぼ使い切っていたもんなぁ」

「辛うじて保っていた空間も、リエート様に切り裂かれていましたし」

 『あの時点で相手方はほぼ詰んでいたでしょ』と零し、特待生は立ち上がる。
リエートの手を引いて。
どうやら、『光の乙女』の能力である程度回復出来たようだ。
先程より、明らかに顔色がいい。

 使用時間も僅かだったから、そこまで酷い反動じゃなかったんだろう。
まあ、なんにせよ動ける状態になってくれて良かった。
────学園長と違って、あっちは機動性も兼ね備えているようだから。