『よし、怪我もないな』と安堵する中、リディアはこちらを見上げた。

「いえ、私も戦闘に参加します。学園長のギフトを考えると、人手は多い方がいいでしょう」

「ギフト?」

「あっ、まだ話してませんでしたね。実は────」

 慌てて状況を説明するリディアに、僕は相槌を打ちつつ驚愕する。
傍で控えるレーヴェン殿下やダウンしたリエートも、目を白黒させた。

「魔王がそんな能力を……」

「でも、これで空間のカラクリは解けたな……」

 額に汗を滲ませながらも何とか笑い、リエートは『あと二回くらいなら対処出来るぜ』と強がる。
本当はもう限界のくせに。

「リディア、そのギフトを使われてから何分くらい経った?」

「えっと、多分……二十分くらいですかね?」

「そうか。なら────もう使えないだろう。それほど強力なギフト、連発すれば命に関わる」

 『出来たとしても、さっきの防御程度』と推測し、僕はカチャリと眼鏡を押し上げた。
ビクッと肩を震わせる学園長の前で、僕は敵意を剥き出しにする。