「み、皆さん……!?」

「何故、ここに……!?」

「飯?」

 ダラリと涎を垂らす黒髪の男……いや四天王アガレスに、僕は目を細めた。
『思ったより弱そうだな』と思いつつ、膝から崩れ落ちるリエートを支える。
もう聖剣を仕舞ったのか、手ぶらの幼馴染みを一旦床に下ろし、前を見据えた。

「殿下は僕のサポートを。特待生はリエートを頼む」

 そう言うが早いか、僕は学園長とアガレスの足を凍らせる────筈が、防御される。
どうやら、自分達の周囲だけ空間を切り取ったらしい。
つまり、先程の縮小版。
『これって、連発出来るのか?』と疑問に思っていると、リディアがこちらへ駆け寄ってきた。

「お兄様……!」

「よく頑張ったな、リディア。ここから先は僕達に任せて、ゆっくり休め」

 傍まで来た彼女を片手で抱き締め、僕は『本当に無事で良かった』と頬を緩める。
もし、リディアに何かあったら……僕はきっと、魔力暴走を引き起こしていただろうから。