改めて接触不可を主張する彼の前で、リエートが頭を搔く。
「あー……確かに怒りを我慢している時に『大丈夫?』とか、『落ち着け』とか言われるとめっちゃムカつくもんなぁ。分かっているから黙っとけ、って感じ」
『今、何かすんのは逆効果かも』と零しながら、リエートは上着を脱いだ。
かと思えば、私の肩にそっと掛ける。
反射的に礼を言うと、彼は『頑張ったな』と言って頭を撫でてくれた。
それが堪らなく嬉しくて……安心する。
嗚呼、自分はもう大丈夫なのだと思って。
「ルーシー、今回の誘拐について分かっていることはあるか?とりあえず、俺のフリした人間がお前を攫ったことまでは判明しているんだが……」
私の隣に座り込み、リエートは優しく問い掛ける。
申し訳なさそうに眉尻を下げながら。
「肉体的にも精神的にも辛いところ、本当に悪い。でも、犯人を……黒幕を突き止めるためにも、知っていることがあれば話してほしい」
目の前に居る男性はただの実行犯で、主犯格じゃないと分かっているのか、リエートは情報提供を求めた。
『些細なことでも構わないから』と述べる彼の前で、私は一瞬言葉に詰まる。
恐怖のあまり、何も話せそうになかったから。
でも、ここで依頼者の男性を取り逃がせば神殿や学園はもちろん……私も困る。
またいつ襲われるかも分からない状況に陥るのだから。
「あー……確かに怒りを我慢している時に『大丈夫?』とか、『落ち着け』とか言われるとめっちゃムカつくもんなぁ。分かっているから黙っとけ、って感じ」
『今、何かすんのは逆効果かも』と零しながら、リエートは上着を脱いだ。
かと思えば、私の肩にそっと掛ける。
反射的に礼を言うと、彼は『頑張ったな』と言って頭を撫でてくれた。
それが堪らなく嬉しくて……安心する。
嗚呼、自分はもう大丈夫なのだと思って。
「ルーシー、今回の誘拐について分かっていることはあるか?とりあえず、俺のフリした人間がお前を攫ったことまでは判明しているんだが……」
私の隣に座り込み、リエートは優しく問い掛ける。
申し訳なさそうに眉尻を下げながら。
「肉体的にも精神的にも辛いところ、本当に悪い。でも、犯人を……黒幕を突き止めるためにも、知っていることがあれば話してほしい」
目の前に居る男性はただの実行犯で、主犯格じゃないと分かっているのか、リエートは情報提供を求めた。
『些細なことでも構わないから』と述べる彼の前で、私は一瞬言葉に詰まる。
恐怖のあまり、何も話せそうになかったから。
でも、ここで依頼者の男性を取り逃がせば神殿や学園はもちろん……私も困る。
またいつ襲われるかも分からない状況に陥るのだから。