シナリオ通りなら、首謀者の女性がそろそろ現れる筈……。
それで、『殿下に近づかないで』とか『貴方が出しゃばった真似をしなければ』とか言うんだけど……私、大して殿下に関わってないのよね。
お人好しのリディアのせいで、接点を持てなかったから。
そのため、本当にあの女子生徒────イザベラが首謀者なのかも怪しい……。
『学園ではかなり好意的に接してくれたし』と思い返す中、馬車が停まった。
『合流地点に着いたのか?』なんて思いながら耳を澄ますと、男性二人の会話が微かに聞こえる。
「それで、聖女候補は?」
「まだ荷台で眠っているかと」
「ふんっ……そうか。じゃあ────ちょっと痛めつけてこい」
「はい……?」
「単に人攫いから救ったというだけでは、インパクトに欠ける。何より、確実に結婚へ漕ぎ着けるとは思えない。だから、襲われているように見せかけるんだ」
『確証が欲しい』と主張する男性に、もう片方の男性は渋る素振りを見せた。
『いや、それはちょっと……』と躊躇う彼を他所に、私は一人納得する。
それで、『殿下に近づかないで』とか『貴方が出しゃばった真似をしなければ』とか言うんだけど……私、大して殿下に関わってないのよね。
お人好しのリディアのせいで、接点を持てなかったから。
そのため、本当にあの女子生徒────イザベラが首謀者なのかも怪しい……。
『学園ではかなり好意的に接してくれたし』と思い返す中、馬車が停まった。
『合流地点に着いたのか?』なんて思いながら耳を澄ますと、男性二人の会話が微かに聞こえる。
「それで、聖女候補は?」
「まだ荷台で眠っているかと」
「ふんっ……そうか。じゃあ────ちょっと痛めつけてこい」
「はい……?」
「単に人攫いから救ったというだけでは、インパクトに欠ける。何より、確実に結婚へ漕ぎ着けるとは思えない。だから、襲われているように見せかけるんだ」
『確証が欲しい』と主張する男性に、もう片方の男性は渋る素振りを見せた。
『いや、それはちょっと……』と躊躇う彼を他所に、私は一人納得する。