心臓をギュッと鷲掴みにされてるみたい。


俐月くんのキスはまるで甘い毒……一度はまったら抜け出せない。


恋人同士でもないんだから、こんなキス許しちゃダメなのに。


唇にされるキスが、こんな甘いなんて知らなかった。


俐月くんがこんなキスするの……わたしだけだったらいいのに。



* * *



台風が接近している雨が強い日の夜。

なんの前触れもなく、いきなり部屋の電気が落ちた。


「え、え⁉︎」


すぐ寮内にアナウンスがかかった。

寮全体が停電したみたいで、復旧までまだ時間がかかるそう。


とりあえず、このまま動かないほうがいいのかな。

でも、真っ暗なのは怖い。