一瞬のことすぎて、何が起きたのかわからず目をぱちくり。
「あんま痛くなかったろ?」
「え、あっ……もう終わり?」
身構えすぎたのか、意外とあっさりで拍子抜け。
不安から一気に解放されたせいか、気づいたら瞳に少し涙が溜まっていた。
それに気づいた俐月くんが、指で優しく拭ってくれた。
「そんな怖かった?」
「だって、痛いの苦手で……」
「ちゃんとできていい子だったじゃん」
わたしの頭を撫でながら、優しく笑う俐月くんが見えたのは一瞬。
まぶたにキスが落ちてきて、またしても目をぱちくり。
「なんかお前の泣き顔って危ないね」
「え……?」
「そそられるっていうか……もっと見たくなる」
もしかして、俐月くんってちょっと危険な一面があったり……?