彼らは御者なので、あの高級宿の客にはなり得ない。ドレスコードがあるからだ。私が心配してそう言えば、二人は競うように大丈夫だと頷いた。

 そういえば、ジョサイアは私が誰と会うのかを気にしていたから、私の交友関係を把握しておきたのかもしれない。

 彼は王の側近で、宰相補佐だもの。妻の社交での情報漏洩などにも、細心の注意を払っているかしら。

 オフィーリア様の居るという高級宿は、前にも確認したことがあった。私は迷うことなく、辿り着くことが出来た。

 宿屋の受付で彼女を訪ねてきたと言えば、確認を経てすんなりと部屋へと案内され、逆に上手く行き過ぎて戸惑ってしまった。

 私は豪華な応接間にあるソファへと座り、緊張しながらオフィーリア様を待った。

 まずは、何を話せば良いかしら……とにかく、ジョサイアの気持ちはまだ彼女にあると伝えねば。

 唐突に扉が開いて、私は驚いて目を見張った。あら……考え込んでいて、彼女のノックの音に気がつかなかったかもしれない。