「わかりました。私は知り合いに会いに行って来るわ……貴方たちはここで、待機していて。時間がかかるかもしれないし、夕飯でも好きに食べて来なさい」

 共用の車止めに馬車を置いているので、私は彼らに指示をした。

 二人の御者は顔を見合わせて、私の気を使った指示に困惑しているようだ。

 ……どうしてかしら。私は以前にもオフィーリア様の情報を求めてこの街に来たけど、その時はすんなりと今の指示で従ってくれたけど。

「奥様。申し訳ございません。ご主人様より、奥様をお一人にしないようにと伺っております」

「まあ! そんなことを……ジョサイアが言ったの?」

 二人は女主人の私に逆らうことを恐れているのか、何度か頷き、大きな身体を縮こめた。

 ……確かにモーベット侯爵ジョサイアの指示なら、私より優先されるべきだわ。二人の困った顔を見るに、私がここで我を押し通す訳にもいかない。

「申し訳ありません。奥様」

「いいえ。貴方たちが謝ることはないわ。夫からの指示なら、仕方ないわね。一緒にいらっしゃい。行き先は高級宿だから、貴方たちの夕飯は、そこで食べられないかもしれないけど……」