帰宅しもう邸内へと戻るだろうと思っていた私が次なる目的地を指示したので、御者はとても驚いているようだった。

 彼らも荷物を下ろして、ようやくゆっくり休めると思っていたところに、悪いことをしたかしら。

 御者たちがバタバタと動いて、私はそのままシュラハトへと向かうことになった。

 流れる窓の風景を見ながら思う……男性と女性の恋愛観の違いについて。

 私がもし、ジョサイアがされたように、結婚式前に他の異性と逃げられたら、どんなに愛していようが心の中からすぐに追い出す。

 その後に運良く仲直り出来たとしても、常にその出来事がよぎってしまうと思うからだ。そもそも自分以外の異性と逃げようとした時点でもう、私ならその相手は恋愛対象ではなくなる。

 ならば、もう何も言わずに別れた方がお互いのためだと思う。

 けど、男性で考えの違うジョサイアは、そうまでされても、オフィーリア様のことを愛していたのだろう。

 物思いにふけっていたら、移動時間は短く感じシュラハトへの到着はすぐだった。

「……奥様。シュラハトへ到着いたしました」