「どうにかなるだろう! 書類の提出を、そもそも遅らせれば良い。どうせ、また先方がケチをつけて駄目になるんだ。これで何回目だと思っている。なんてことはない。こんなにも、時間が取らされているんだぞ。一回くらい遅れたくらい、どうしたんだ。何の問題がある。私が許す」

 ジョサイアは私にちらりと視線を走らせたので、私はにっこり微笑んで頷いた。

 ……温泉、とても行きたい。

 そんな私の気持ちを熱い視線だけで察してくれたのか、ジョサイアは王からの申し出に形式的な臣下としての感謝の気持ちを述べていた。

 温泉! なんて、楽しそうなの……しかも、離宮なんて通常なら、王族しか使えないのよ。

 私たち夫婦は揃って礼をして王の前から下がり、ホールへと出た。周囲では貴族たちが踊っているし、夜会では踊るのもそこに集う貴族の仕事だ。

 そして、三曲ほど踊りホールから下がろうとしたところで、私は自分が靴擦れしていることに気がついた……ひりひりして、痛い。