「もちろんです・・・!えっと、葵華様・・・?」
コテン、と首をかしげる姿も可愛らしいですね・・・!
兄様、女性が苦手なはずですが・・・女性を見る目はあるようです・・・!!
これは将来の家族に期待が出来そうでよかったです!
「葵華でいいです・・・!ぜひ呼び捨てで・・・!!」
思わずそうお願いすると、義姉様はにっこり笑った。
「ありがとうございます・・・!女同士、仲良くしましょう・・・!」
うーん・・・なんだかしっくりこない・・・。
・・・いえ、まだ距離があるので寂しいのかもしれません。
「タメ口でお願いできないでしょうか・・・?もう義妹なので・・・」
「え・・・いいのっ?じゃあ葵華も・・・」
「あ・・・すみません、私は誰にでも敬語なので・・・」
「そっか・・・わかった、無理強いはしないよ・・・!よろしくね」
えぇ・・・!
なんていい人なんでしょう・・・?!
流石、自慢の兄様が選んだお方。
「ね・・・葵華・・・」
「はいっ、兄様!」
「・・・なんか勘違いしてない・・・?」
恐る恐る声を掛けてきた兄様。
対して私は顎に手を当てて考えました。
勘違い・・・ですか。
私がですよね・・・?
・・・ということは。
「義姉様はどこかの御令嬢なのでしょうか・・・?」
私が勝手に決めつけていたことはそれくらい・・・。
考えればこんなに上品な方ですし、兄様が選んだお方だからなにをやらせてもカンペキにこなして見せるのでしょう。
たしかにこれで一般人とは思い難いですよね・・・
ではやっぱりどこかのグループの御令嬢・・・?
でも向埜鳥グループとは聞いたことがありませんね。
・・・あ。
「もしかして兄様・・・」
私の頭の中に最悪の答えが見つかってしまいました。
                                                                
義姉様はココにいる各グループの御曹司様の誰かの婚約者なのでしょうか・・・?!
                                                                  
なんということでしょう、兄様の恋人ではないのですか・・・!
では・・・義姉様とお呼びすることも許可されない・・・?
私はなんという失態を・・・!
お恥ずかしい限りです・・・。
「兄様は・・・やはり政略結婚なのでしょうか・・・?私と同じ、自分の気持ちが無視される・・・相手が悪ければ拷問のような・・・」
「お、大袈裟だね・・・。でも・・・葵華はそうなの?」
「いえ?私の婚約者様はとてもいいお方なので私は比較的優遇されているのだと思います・・・!」
お相手がよかったのでしょうね・・・。
それとも両親は少しだけ、私のコトを大切に思ってくださっている・・・?
それで、人がいいお家に嫁がせた・・・?
・・・詳細はわかりませんが、そうであってほしいですね。
「では義姉様・・・いえ、真空様はどちらの御曹司様の婚約者なのでしょうか・・・」
「・・・え、葵華、私に婚約者いないよ」
「誠ですか・・・!では義姉様とお呼びしてもよろしいのですね・・・!!」
「え・・・うん、全然いいよ。嬉しいし!」
ニコニコの義姉様は私の手を握り返し、首を傾げました。
「なにかしたい?恋バナ・・・系ではなさそうだね」
恋バナと言う言葉に私はすぐに反応してしまいました。
これは私に恋バナがあるわけではないのです。
兄様と義姉様とのお話をお聞きできると思いまして・・・!
「兄様・・・!」
「なぁに、葵華」
「少しの間義姉様をお貸しいただいてもよろしいですか・・・?!」
「・・・え?まぁ、女の子同士話したいことでもあるんだよね。いいよ。そのかわり、葵華の部屋でね」
「ありがとうございます・・・!義姉様、行きましょう・・・!」
「いいけど・・・恋バナ、したいの?」
「な・・・!葵華の恋バナ・・・?!婚約者との話・・・?!」
「違います、兄様。義姉様のお話を聞くのです」
慌てたように聞いてくる兄様に告げて私は自室に向かいました。
さぁ義姉様!
思う存分お話いたしましょう・・・!
〈side 葵華 END〉