待ち合わせ場所は佐々木くんのお家から近いところにある大きな公園。

 そこはお祭りの会場でもある。

 歩きにくいけど、いつもよりちょっと早歩きになっちゃうのはなんでだろう。

 佐々木くん、もう居るかな?

「おい」
「……っ?」

 角を曲がったところで急に横から声をかけられて、私はビクッとしながら、そちらを見た。

「さ、佐々木くんっ!?」

 電信柱の横に佐々木くんが立っていた。

 それも黒い甚平を着ている。

 まさか、待ち合わせ場所じゃなくて、こんなところで会うなんて、びっくりしてしまった。

「君はこの道を通ると思った」

 佐々木くんにそう言われて、私は思い出した。

 ここ、私が前に佐々木くんを引きとめた別れ道だ。

「どうして、ここに?」

 別に待ち合わせ場所で会えばよかったのに、と思って私は尋ねた。

「秋兎おじさんが君を迎えに行けとうるさいから」

 さっきからちょっとムッとした顔してるのは、それが理由かな。

「そんなの、迎えにいったフリすればよかったじゃん」

 私が来るまで公園の入口で待ってれば、きっとアキさんには気付かれなかったよ。

「まあ……、君が誰かに連れて行かれても困るからな」

 そう言いながら佐々木くんは、ふんっという顔をした。

 なんだ、やっぱり私のこと心配して来てくれたんじゃん。

 自分だって子供のくせに、また大人みたいな言い方して。

 佐々木くん、素直じゃない。

「あり、がと……」

 一応お礼を言う私も素直じゃないかも。