「ごめん、ちゃんと話す。実は――」

 佐々木くんの言う通り、なにも話してなかった、と思って、私は紗菜ちゃんのことと小林くんのことを話した。

「それで? 僕にどうしろって? 僕は君の友達でもなんでもないし」

 大きなあくびをしながら、佐々木くんが私の前の椅子に座った。私も同じように椅子に腰を下ろす。

「佐々木くんって、本当に幽霊が見えるの?」
「質問してるのは僕だ」

 佐々木くんの不機嫌そうな顔を見て、あ……、と私は思ったけれど、彼は続けて

「――はぁ……、君の近くに猫がいる。黒猫だ」

 呆れたような口調で、そう言った。

「……!?」

 ハチのことを思い浮かべて、私はドキリとしてしまった。佐々木くんは本当に幽霊が見えるのかもしれない。

「な、名前は?」
「知らないよ。君は猫と喋れるのか?」

 テーブルに身を乗り出す私に、佐々木くんはちょっとバカにするように言った。