「でもさ、なんか犬とか猫みたいだね」

 ちょっとだけ離れたところに立って眠たそうにしてる佐々木くんを見て、紗菜ちゃんがふふっと笑う。

「うーん、どちらかというと、猫、かな」

 気だるげな瞳、大きなあくび、気まぐれな性格、猫にそっくり。

 でも、クラスのみんなはめずらしいものでも見るような目で佐々木くんを見てる。

 まあ、不登校だった子が急にサマーキャンプだけ現れたら、それはびっくりするかな。

「猫ねー。このキャンプで佐々木くんに好きって言ってもらえるといいね、優希ちゃん」
「だから、違うってば」

 笑顔で言ってるけど紗菜ちゃん、ぜんぜんわかってないよ。

 私はべつに佐々木くんのこと好きなわけじゃないって。

「はいはい」

 とか言いながら、紗菜ちゃんはバスに戻っていった。

 私は佐々木くんと一瞬目が合ったけど、ないない、と首を左右に振って、紗菜ちゃんのあとを追った。

 それからはキャンプ場で班ごとにカレーを作ったんだけど、いろいろと問題が起こった。