「それにここに犬や猫を連れてきてないのは、暑いからだと思う。動物たちのことを考えて敢えて連れてきてない」

 たしかに、佐々木くんの言う通り、お兄さんの近くにワンちゃんやネコちゃんはいない。

 それが暑さから守るためだなんて、佐々木くんはよく気付く。

「優しい人なんだ? ……でも、狛犬さんに取り憑かれて大丈夫なの? 私みたいに命を吸われたりは?」
「大丈夫そうだ。動物たちの壁に入るために狛犬は小さくなって収まったからバランスが取れてる」

 佐々木くんにそう言われて、小さな狛犬さんをイメージしたら、ちょっと笑えた。

「あの狛犬は縁結びの神様に仕えてたんだ。今度はあの狛犬が動物と人との縁を結ぶ手伝いをするらしい」

 彼には一体なにが見えてるんだろう?

 私には想像するしかできないから、ちょっとさみしいなと思う。

 でも、よかったんだよね?

「今回はハッピーエンドだったってことでいいの?」
「まあ、そうだな。これがダメだったら、君たちが見つけた壊れた神社に行こうと思ってた。おそらく、無駄だっただろうけど」

 私の問いに佐々木くんはぶっきらぼうに答えた。

 また悪いことが佐々木くんの目には見えたのかと思ったから。

 犬とか猫とかが救われてなくて、それであのお兄さんを恨んでるとか。

 そうじゃなくて、みんなを守るために狛犬さんが憑いてるんだったら、よかった。