うれしくて、泣きそうで、そんな顔で佐々木くんのことを見上げる。

「霊障だ。霊感の強い僕と一緒に居ると、僕の力に引きずられて他の人も幽霊が見えるようになることがある。僕的にはそうは思わないけど、君と僕は相性的には友人になれるかもってことだ」

「素直に友達になりたいって言えばいいのに」

 澄ました顔でまたそっぽを向く佐々木くんに、私はちょっと笑いながら言った。

「違う、僕は別に……」
「これで私と佐々木くんはお友達。私とハチを会わせてくれてありがとう」

 立ち上がって、私は佐々木くんのもう片方の手も握った。

 佐々木くんは目を丸くして驚いていたけど、彼の珍しい表情が見られたから、私としてはラッキーかな。

 ルンルンと握った両手を振っているときだった。

「あれ? 女の子。人間かな?」

 佐々木くんの後ろ、別れ道の左側、道の角から小さな女の子がこちらを覗いているのに私は気が付いた。

「まさか……」

 そう言って、佐々木くんは後ろを振り返ろうとした。

 私も慌てて両手を離す。

 でも、

「あ、待って……!」

 手を離す瞬間、呼び止めたのだけれど、女の子は走って去っていってしまった。

「行っちゃった……」

「どんな子だった?」

 佐々木くんが真面目な顔して尋ねてくる。

 どうして、そんなに真剣でちょっと怖い顔してるんだろう?