「ああ」
「なんで? 学校には幽霊がいっぱい居るから?」

 どうして、話を続けて、彼をここに引きとめてしまうんだろう。

 これじゃあ、佐々木くんも帰れない。

 必然的に彼の足が止まり、こちらを見た。

「いいや、やらなければいけないことがある」

 変わらない気だるげな表情で佐々木くんが答える。

「そっか……」

 話、終わっちゃった……。

 この先はたぶん聞いても教えてくれない。

 学校に来ないなら、ここで佐々木くんとはお別れなのかなって、二日しか一緒に居なかかったけど、ちょっとさみしいなとも思う。

 ううん、なに言ってるんだろ、私。

 佐々木くんなんて、クールで、へんに大人みたいだし、しゃべりづらいだけじゃん。

 でも、会えなくなるのがさみしいっていうのが、彼を呼び止めた理由だったとしたら……。

 じゃあ、またね、って言っちゃダメなのかな?

「あの人が」

 頭の中で悩んでたのに、佐々木くんのほうが口を開いた。

「え?」

 思わず、私の口からちょっとまぬけな声がもれる。