「っ……!」

 彼はぜったいに小林くんじゃない……!

 私は反射的にぎゅっと目を閉じた。

「なにしてるんだ?」

 急に目の前から聞き覚えのある声がして、私はパッと目を開けた。

 そこには小林くんに両腕を掴まれた佐々木くんが立っていた。

「佐々木くん!? 来ないんじゃなかったの?」

 さっきまで佐々木くんは全然来る気なんてなさそうだったのに、もしかして、心配になって来てくれた、とか?

「最初から僕の用事のついでだって言っただろう? 用事が終わったんだ」

 表情は見えないけれど、佐々木くんが呆れてるのだけは声でわかった。

「面倒だな……」

 佐々木くんがぼやく。彼のことを掴む小林くんの手にはぐぐっと力が入っているみたい。

 私よりも佐々木くんのほうがちょっと背が高いけれど、小林くんとは身体の大きさがぜんぜん違う。

 どうしよう……。