「真理ちゃんと同じクラスにちょっとやんちゃな男の子がいてね? その子が、この学校の近くで一週間前くらいに交通事故があったじゃん? それ目撃したらしいの。で、そこで……血のついたある物を拾ったんだってさ~!」

 どうやら、ここがオチみたいで、紗菜ちゃんは私と綾ちゃんを脅かすように少し大きな声で言った。バッと両手まで広げちゃって、ちょっと面白い。

「ははっ、なにそれ~、やっぱり全然怖くないじゃん」

 血っていう言葉はなんとなくゾッとするけど、話自体はそんなに怖くなくて私は笑ってしまった。

「ふふっ、ほんと。――で? ある物って、なに?」

 綾ちゃんも笑いながら紗菜ちゃんに尋ねる。

「それがねぇ……」

 ニヤニヤと笑いながら口を開いた紗菜ちゃんだったけれど、なぜか、途中でジッと黙ってしまった。急にガクンと下を向いてしまって顔が見えない。

「紗菜ちゃん……?」

 不思議に思って、私は横から紗菜ちゃんの顔を覗き込んだ。

「ねぇ、紗菜ちゃん? どうしたの?」

 綾ちゃんも心配そうに反対側から紗菜ちゃんの顔を覗き込む。