「それは周りを盛り上げるために言ったウソ」

 佐々木くんの言葉に小林くんがニヤリと意地悪な笑みを浮かべる。

 まるで、いいだろう? と自慢するみたいな顔だ。

 でも、佐々木くんは冷めていた。

「この指輪は、すぐに拾った場所に返したほうがいい」

 真顔でそう言ったのだから。

「返したほうがいいって、その言い方、もしかして、これが呪われてたりする?」

 小林くんは佐々木くんの言葉を信じていないみたいだ。

 指輪を自分の左手の小指にはめながら、おちゃらけている。

 女の人用だから、他の指には入らなかったみたい。

「まあ、そのほうがわかりやすいなら、それでいい」

 面倒そうな顔で佐々木くんが小林くんに言った。

「面白そうじゃん」

 そう笑ったのは小林くんだ。

 一瞬私にはその言葉の意味がわからなかった。