こんなことなら、床にランドセルを置かなきゃよかった。

「君はここに来るだけで友人を救えると思うのか?」

 またそういうことを言う。

「そんなこと思ってないよ」
「なら、小林なんとかに会いに行こう」

 私がムッとした顔を隠しながら言うと、佐々木くんはなんとも思ってない感じで玄関の扉を開けた。

「ねえ、佐々木くんは小林くんが放課後どこに居るか知ってるの?」

 ランドセルを背負って外に出て、佐々木くんの後ろを追いかける私。

 鍵はいいの? とか思っちゃうけど、佐々木くんはちょっと早歩きだ。早くしないと置いていかれる。

「知るわけない。君が言うのを待ってる」

 目的地がわからないのに、足を止める様子のない佐々木くん。

 私が言うのを待ってるって? どうしてバレたんだろう? 私が小林くんの居場所を知ってるってこと。

「君なら調べると思った。大好きな友人のためだからな」

 私がなにかを言う前に、まるで私の心を読んだかのように佐々木くんが言った。

「たしかに調べたよ。小林くんは放課後、二丁目の木漏れ日児童館でよく遊んでるって、六年生の子たちが言ってた」

 なんだか正直に話すのもムッとするけど、これも紗菜ちゃんのため。