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「なんだ、来たのか」

 次の日の放課後、私が佐々木くんのお家を訪ねると彼の第一声はこれだった。

 寝癖のついた髪に大きなあくび、まるで今起きたみたいだ。

「蒼空、女の子にはちゃんと優しくするのよ?」

 そう言って、またアキさんはお店の準備でどこかに行ってしまい、佐々木くんと二人きりになる。

「来たよ、紗菜ちゃんを助けたいから」

 私はリビングの入口に立つ佐々木くんをジッと見つめた。

 本当は昨日、佐々木くんにムカつくことを言われて、ここに来るのはやめよう、って考えた。

 でも、紗菜ちゃんを助けたい気持ちのほうが大きくて、佐々木くんの力が必要だと思った。

 だから、私は今日ここに来たんだ。

「まあ、それもいい」

 表情を変えることなく、どうでもいいというふうに佐々木くんが言う。

「さて、じゃあ行くか」
「え? 行くって、どこに?」

 急に玄関に向かって歩き出した佐々木くんに、私は声をかけた。

 まだ来たばかりで準備が出来てなくて、私は自分のお気に入りの水色のランドセルを背負えてない。