「学校が終わったら、また君が来ればいいだろ? いい加減、僕を解放してくれ」

 一度足を止めた佐々木くんは私のほうを見て、そう呆れたように言った。

 そして、またすぐに歩き出す。

 けれど、一瞬でピタリと足が止まった。

 なんだろう? 忘れ物?

 私が不思議に思って見つめていると、気だるげな視線が振り向いて「あと……、少しは自分の頭で考えたほうがいい」と冷たく言葉をこぼしてスタスタと去っていってしまった。

 しばらく私は魂が抜けたみたいに固まって

「なにそれ! ムっカつく!」

 もう目の前に彼は居ないのに、そう叫んだ。