雨は激しさをいや増すばかりで、狩猟小屋にたどり着いた頃には、馬も人もかなり濡れてしまっていた。

まず馬たちを馬房に入れて、体が冷えないように毛布をかけてやった。
それから二人で狩猟小屋に入った。滅多に使わないが、定期的に人をやって換気や掃除はしているとリランは説明した。

「最低限の物しか置いてないからホテルとはいかないけど、雨はしのげる」

確かに殺風景な空間だった。
それでも部屋の奥にしっかりした作りの暖炉があり、薪載せ台には薪も積まれていた。
リランが手早く薪を組みマッチで火をつける。

マッチの火が薪に移り、パチパチとはぜる音をたてながら燃え上がるのを見届けるとリランが立ち上がった。
「キッチンに何かないか探してくる」

「あら、わたしがやるわ」

「きみは火に当たって。冷えると風邪をひいてしまう」

たしかに乾いた場所に逃れて、急に寒気を感じていた。
彼の言葉に甘えて暖炉のそばの床に直に座って火に当たる。濡れた服や髪が肌に貼りついて嫌な感触だ。
額や首すじに貼りつく髪をかき上げると、熱を我慢できるぎりぎりの距離まで暖炉に近づいて、冷えた手をかざした。