「ねえテス、ダロウビー地区にあるうちの別荘に泊まりにこないかい?」
乗馬好きのリランのためにギュスターヴ侯爵が購入し、彼は今そこに長逗留してヒースクレストに通っているのだ。
リランがヒースクレストを訪ねてくるかぎり、こちらは丁重におもてなしをする立場だ。
だけれど未婚の娘が(婚約したとはいえ)、男性の邸を訪問しさらに泊まるとなると、話はやや大ごとになってしまう。
「…あなたのお父さまとお母さまは、どう思っていらっしゃるの?
大した財もない家の娘といきなり婚約してしまって」
「息子は馬と結婚すると言い出すんじゃないかとヒヤヒヤしてたから、人間の令嬢と婚約して喜んでいるよ」
思わず笑ってしまった。
「きみの笑顔を見るのが好きだな、テス。
それに知ってのとおり僕たちの曾々祖父は、兄弟だったんだ。両家は遠縁でもある。
きみのお父さんが亡くなったことは聞いていたけど、住んでいる地区が遠いし当時はうちの父も新規事業に忙殺されていて。沙汰止みになっていたことを申し訳なく思ってる」
神妙な面持ちだ。
「わたしのお祖母さまはちょっと前まで、ギュスターヴ家の呪いなんて口にしていたのよ。
曾々祖父さまがギュスターヴ家に養子に出されたから、終生それを恨んでいて、その子孫たちもヒースクレストを取り戻そうと狙っているのじゃないかって」
乗馬好きのリランのためにギュスターヴ侯爵が購入し、彼は今そこに長逗留してヒースクレストに通っているのだ。
リランがヒースクレストを訪ねてくるかぎり、こちらは丁重におもてなしをする立場だ。
だけれど未婚の娘が(婚約したとはいえ)、男性の邸を訪問しさらに泊まるとなると、話はやや大ごとになってしまう。
「…あなたのお父さまとお母さまは、どう思っていらっしゃるの?
大した財もない家の娘といきなり婚約してしまって」
「息子は馬と結婚すると言い出すんじゃないかとヒヤヒヤしてたから、人間の令嬢と婚約して喜んでいるよ」
思わず笑ってしまった。
「きみの笑顔を見るのが好きだな、テス。
それに知ってのとおり僕たちの曾々祖父は、兄弟だったんだ。両家は遠縁でもある。
きみのお父さんが亡くなったことは聞いていたけど、住んでいる地区が遠いし当時はうちの父も新規事業に忙殺されていて。沙汰止みになっていたことを申し訳なく思ってる」
神妙な面持ちだ。
「わたしのお祖母さまはちょっと前まで、ギュスターヴ家の呪いなんて口にしていたのよ。
曾々祖父さまがギュスターヴ家に養子に出されたから、終生それを恨んでいて、その子孫たちもヒースクレストを取り戻そうと狙っているのじゃないかって」