時計の針を元に戻して、藤咲くんの耳を塞いでやりたい…そんな気分。
「それにしてもビックリしたなぁ~」
あんまり効果はないと自覚しつつ…敵を睨みつけてみた。
「なににビックリしたのよ!」
「なにがって、そりゃ陸先輩のことですよ。愛理先輩とキスできないってホントにそんなことを言ったんですか?」
「だぁ~~っ!!サラッと言わないで」
「愛理先輩だって、オレの告白を見事にサラッとスルーしたじゃないですか」
「なになに?この子、愛理のことが好きなの?」
「はい。そうっす!!」
「何度もからかわないでって言ってるでしょっ!」
今日はじめて藤咲くんを見る…さっちゃん。
人の緊急事態を知ってか知らずか、藤咲くんを見て、新しいおもちゃを見つけた子供のように目を輝かせている。
「はぁ……」