「ちょっと藤咲くん、やめてよ」


慌てて藤咲のブレザーの袖口を引っ張り、愛理がなにか言おうすとる。



まさか──・・・



「先輩を困らせるつもりはないんだけど…ゴメン。やっぱりオレ、ちゃんと陸先輩にも言っておきたい」


申し訳なさそうに愛理の顔を見ると、藤咲が俺に向かって真っ直ぐに視線を向け



「オレ…愛理先輩のこと、本気で好きなんです」



そう力強く告白した。


はじめて見る…藤咲の揺るぎない真剣な瞳。


それを見て、すぐに言ってることはマジだってわかった。


けど、それを聞いて、ああ、そうですか…って聞き逃すわけにもいかない。


「だからなんだよ?」


「いろいろ悩んでる愛理先輩を見てて、オレ ほっとけない」


そう言って藤咲が隣にいる愛理の手を握った。