女性たちは、殿下の周りにここぞとばかりに集まっている。
しかし、殿下のすぐ隣には、義妹のマリアーナが陣取り、他の者たちにその場を譲ることはなかった。
……あの二人は婚約でもするのかしら?
伯爵令嬢とはいえ、マリア―ナはお父様の実子ではないため血統的には男爵令嬢だ。
まぁ、昔から養子にしてから婚姻みたいな話はあるから、何にも問題ないのかな……。
熱気にあふれ盛り上がっていると、学園長が放った魔法の金色の雨が突然消えた。
そして、金色の雨の代わりに、真っ赤な雨が降り始めた。服や体につくと、赤い雨はしゅううっと肌や服に吸い込まれていくように消えていく。
いくら濡れないし色が残らないとはいえ、赤い色は血を思わせあまりいい気持ちではない。
「赤い雨の魔法を止めよ!」
先生の一人が声を上げた。
「うふふふ、私からのお祝いよ」
すぐに帰ってきた声は、しわがれていた。
声の主は空中に現れた。
体を浮かす魔法はあるが、扱いが難しく膨大な魔力も必要だ。
国内でも何人かしか扱えないような高度な魔法。
真っ赤な華やかなドレスに身を包み、顏は真っ黒なマスクで覆っていた。
「お前は……醜悪魔女か!」
醜悪魔女!
3代前の王の婚約者だった女性の名だ。
「まだ、生きていたのか!」
60年前、18歳で婚約破棄された公爵令嬢。
「ええ。醜悪ゆえに婚約破棄された私……あれから美貌を取り戻そうと魔法の研究をしている間に、うっかり不老の魔法にかかってしまったのですわ……」
ざわざわと会場がざわめいた。
それはそうだろう。不老の魔法は、多くの者が長年研究を続けていてもたどり着けない幻の魔法。
醜悪魔女が仮面を外した。
とても醜悪などと言えない美しい顔が仮面の下から現れる。
だが、それは右半分の話で、左半分は赤く腫れあがり醜いあとがあった。
ひぃっと小さな悲鳴も聞こえる。
「私の顔をこのようにしたのは、皇太子に近づいたピンクの髪の男爵令嬢だったわ。……彼女が私を呪ったの。隣国から呪いの劇薬を使って……。そして、私はこんな顔になった……。男爵令嬢はかわいい顔で皇太子にささやいたのよ。心が醜いから顔にそれが現れたのでしょう。あのような女性と結婚してはダメです……と」
醜悪魔女が先ほどつけていたのとは別の、半分だけ顔が隠れるものを付ける。
しかし、殿下のすぐ隣には、義妹のマリアーナが陣取り、他の者たちにその場を譲ることはなかった。
……あの二人は婚約でもするのかしら?
伯爵令嬢とはいえ、マリア―ナはお父様の実子ではないため血統的には男爵令嬢だ。
まぁ、昔から養子にしてから婚姻みたいな話はあるから、何にも問題ないのかな……。
熱気にあふれ盛り上がっていると、学園長が放った魔法の金色の雨が突然消えた。
そして、金色の雨の代わりに、真っ赤な雨が降り始めた。服や体につくと、赤い雨はしゅううっと肌や服に吸い込まれていくように消えていく。
いくら濡れないし色が残らないとはいえ、赤い色は血を思わせあまりいい気持ちではない。
「赤い雨の魔法を止めよ!」
先生の一人が声を上げた。
「うふふふ、私からのお祝いよ」
すぐに帰ってきた声は、しわがれていた。
声の主は空中に現れた。
体を浮かす魔法はあるが、扱いが難しく膨大な魔力も必要だ。
国内でも何人かしか扱えないような高度な魔法。
真っ赤な華やかなドレスに身を包み、顏は真っ黒なマスクで覆っていた。
「お前は……醜悪魔女か!」
醜悪魔女!
3代前の王の婚約者だった女性の名だ。
「まだ、生きていたのか!」
60年前、18歳で婚約破棄された公爵令嬢。
「ええ。醜悪ゆえに婚約破棄された私……あれから美貌を取り戻そうと魔法の研究をしている間に、うっかり不老の魔法にかかってしまったのですわ……」
ざわざわと会場がざわめいた。
それはそうだろう。不老の魔法は、多くの者が長年研究を続けていてもたどり着けない幻の魔法。
醜悪魔女が仮面を外した。
とても醜悪などと言えない美しい顔が仮面の下から現れる。
だが、それは右半分の話で、左半分は赤く腫れあがり醜いあとがあった。
ひぃっと小さな悲鳴も聞こえる。
「私の顔をこのようにしたのは、皇太子に近づいたピンクの髪の男爵令嬢だったわ。……彼女が私を呪ったの。隣国から呪いの劇薬を使って……。そして、私はこんな顔になった……。男爵令嬢はかわいい顔で皇太子にささやいたのよ。心が醜いから顔にそれが現れたのでしょう。あのような女性と結婚してはダメです……と」
醜悪魔女が先ほどつけていたのとは別の、半分だけ顔が隠れるものを付ける。