「なーんだ、百合、円城くんに詳しいなら早く言ってくれればいいのに」
「女の子たちからウワサで聞いただけ……、じゃなくてっ……! ど、どーして超有名な円城くんがここにいるのっ……!?」
亜萌ちゃんは待ってましたとばかりに、ふふんと鼻を鳴らす。
「円城くんには、今日からしばらくの間、百合が男慣れするために、協力をしてもらうことになりました~!」
私は、へ? と思わず首を傾げる。
「まぁ、つまり、ざっくり言うと、円城くんが百合の仮のカレシ役」
「えぇっ!!? 無茶だよっ……!?」
私が言うと、ずいっと亜萌ちゃんは顔を近づける。
「無茶じゃなーい。よく聞いて百合。アンタはこのままで本当に満足?1歩ぐらい、前進したいって思わないの?」
「うっ、それは……、そうだけど」
「じゃあ決まり! 今日から百合の相手よろしくね、円城くん!!」
「ああ」
私はまだこの時点では気づかなかった。
始まったばかりの“秘密のレッスン”がこんなにも過酷だなんてことにーー。